先日、台南へ行ってきました。
麻豆代天府というところが面白かったので紹介してみたいと思います。
麻豆代天府へのアクセス
麻豆代天府は台南市街地からすこし離れたところにあります。台南駅から台湾鉄道(台鉄)に乗って隆田駅下車(約30分)、そこからタクシーで15分ほど。
バスもありますが、本数が少ないのであまりお勧めしません。隆田駅から橘10番バスに乗って麻豆公所で下車、そこから徒歩10分でした。
お寺に着いたら、乗せてもらったタクシーにそのまま1時間ほど待機してもらうとよいです。僕が行ったときは運転手の方からそう提案してきましたが、断ってしまって後悔しました。お寺周辺は何もなく、タクシーも見つかりそうにないからです。
麻豆代天府の様子
特に調べもせずに来ましたが、たまたま何かのお祭りをしていました。
台南のお祭りは賑やかでよいです。
やたら派手な観音殿。
中にはでっかい観音様がいます。
庭も派手。
で、このお寺の特徴は記事タイトルの通り地獄見物ができるというところ。
地獄の入り口は本殿の裏側にあります。
上から見下ろす鬼がいかにも「地獄へようこそ!」と歓迎しているかのよう。
入館料を徴収するのは鬼ではなく作業服を着たおっちゃんで、NT$40(140円)でした。お布施のような形をとっているので、気が向けばそれ以上払ってもよさそうです。地獄の沙汰も金次第。
なお、麻豆代天府には天国も用意されているのですが、先に地獄を見ておいた方が流れ的にも気分的にもよいかと思います。
いざ地獄へ
地獄への通路には壁画。
高雄の龍虎塔でも同じようなのを見たなあ。そんなに乳首を強調する必要はあったのかなあ。そんなことを考えながら地獄へと落ちていきます。
地獄のなかは十王信仰に基づいて十殿・十八地獄に分かれています。
階段を降りるとそこはさっそく第一殿(第一地獄)。
ここでは秦広王によって生前の罪が確認され、どの地獄に送られて裁かれるかが決まります。地獄といえば閻魔様を思い浮かべますが、十王信仰によると地獄には裁判官がたくさんいて、ジャンル毎に担当が分かれているようです。閻魔様はあくまでもその中の1人。
さて、第二殿以降では実際に刑が執行されていきますよ。
ちなみに、すべての地獄に共通することですが、各地獄へ近づくとどこからともなく「カチン」と機械音が響きわたり、おもむろに寸劇が披露される運びとなっています。罪人の命乞い(もう死んでるけど)と裁判官の「ええい黙れ黙れ!」的な掛け合いが見どころ。もちろん鬼も動きます。
というわけで第二殿は初江王が担当。
初江王はここでは汚職について裁くらしく、職権乱用で民衆を苦しめた役人は斬首刑!というわかりやすい刑罰が披露されます。
また、不正な業務を行ない善良な者に横暴な振る舞いをした場合は、わりと近代的な石輪で何度も轢かれることになります。合図とともに嬉々としてハンドルを操作する鬼。
幽霊も地獄を盛り上げます。
第三殿は宋帝王。
宋帝王は姦淫に関する罪の審理を行います。強姦または不倫をした者は、熱した銅柱に縛り付けられて焼かれる炮烙の刑。
また、私利私欲から文書偽造した者は眼をくり抜かれます。
姦淫と関係ない気がしますが気にしてはいけません。
強そう。
と、こんな調子で第十八地獄まで続いていきます。長い。写真はすべて撮ったのですが、見返すのも恐ろしいので以降は割愛させていただきますね。どれもバリエーションに富んだ地獄っぷりでした。
ちなみに最後は第十殿・転輪王。
孟婆湯を飲むことで前世の記憶を忘れて、来世へ転生します。輪廻の門へと進む孤独な罪人の背中に人の業の深さ、はたまた人生の悲哀を感じずにはいられませんが、カタカタという音がそれらの思惟を妨げます。これが第十八地獄となります。
天国もあるよ
地獄を堪能したところで、せっかくなので天国も覗いておきましょう。
天国は中国語では「天堂」といいます。天堂へは地獄の出口からそのまま向かうことができるようになっていて便利です。
ものすごく適当な案内。
こちらが天国(天堂)の入り口。
料金は地獄と同じくNT$40(140円)。
天国への階段を登りきると門番がお出迎え。
この人、見たことあるような気がする。
天国も地獄と同じような仕組みになっているのですが、基本的にお茶ばっかり飲んでいて面白みには欠けます。きっと作った人も地獄の方が楽しかったのではないでしょうか。天国は退屈。何らかの示唆を与えてくれているかのようですが、気のせいかもしれません。
ひとしきり天国見物をしたらそこはもう下界。
ここからは麻豆代天府の全景を眺めることができます。
龍の口が出口になってたんですね。
もしヘンなものが見たければぜひ麻豆代天府へ足を運んでみてはと思います。